経済で読み解く明治維新 上念司 著 読書感想 byたろう

こんばんは、太郎です。
経済という切り口で日本史が語られている本を見つけました。
江戸時代の経済についてのまとめと感想をつづっていきます。
 
生産性の向上とインフレ
江戸時代、税金(年貢)は米で納めることになっていたし、大名への報酬も米で支払われることになっていた。技術の向上によって生産力が増加するという人類の発展は、いつの時代も一緒で、江戸時代も農具や農地の拡大で米の生産性はどんどん上がっていった。生産性向上とともに米の値段は下がって、ほかの財の価値が上昇する。3%程度のゆるやかなインフレは、給料の増加や、モノが値上がりする前に買おうという購買意欲を掻き立てるため、預金を減らし投資・消費を促進するといわれている。
このころ金貨・銀貨が通貨となっており、コメとの物々交換ではなく、コメを通貨に換えてから、通貨で取り引きすることが一般的だった。
コメ価格低下によって貨幣の価値も上昇し、デフレになっていた。日本国内の金銀鉱山が掘りつくされたため、造幣の限界を迎えてしまった。生産性の向上に合わせた貨幣流通量増加をできなかったため、貨幣価値が上昇し、デフレとなってしまった。
 
 
江戸時代の身分制度
戦国時代は戦に強い人が、高い身分となった。
平和な江戸時代に入り、戦の強い人の子孫が世襲したため、行政には向いていない人材が政治を行うこととなった。また家柄のいい家は、少数派でありその一族での優秀な人と言っても、全体から見ると一般的な有能なひとよりも劣る者が、国や藩のかじ取りをすることになる。
まれにデフレ脱却のための金含有量を減らす改鋳で流通貨幣を増やす金融緩和をする有能な老中・将軍もいたが、失脚と共に緊縮政策へ揺り戻しが起こり、持続的なインフレはかなわなかった。
 
日米友好通商条約
 この不平等条約の欠点として、学校では呪文のように、「治外法権がない」「関税自主権がない」と覚えさせられました。
 経済面で最も大きな影響を与えたのは金銀の交換比率を定めていたことです。
海外のレート(金:銀=1:15)ではなく、改鋳で金小判の価値が下がっていた日本のレート(金小判:銀貨=1:5)の比で交換していたため、
 海外で金1単位を支払って、銀15単位をゲット
 日本で銀15単位を支払って、金3単位をゲット。
これを1サイクル行うと、金が3倍に増えるという錬金術が成立した。よって日本に銀が流入し、金が流出した。
 
 
民衆の困惑と革命運動
上念司さんは大東亜戦争についての本も書いているようで、歴史のできごとを経済とリンクさせて、2つのフレームワークととらえることを推している。
①社会は金とモノのバランスで成り立っている。
②お金が減りデフレになり、景気が後退すると危険な思想に走る。
不平等条約で金銀交換レートを利用され、外国に金が流出し、国内の銀貨が一気に増えたため、銀貨の価値が急落し、急速なインフレが起こった。ものが買えなくなった民衆が困窮し、怒りの矛先が外国、幕府に向いて、尊王攘夷の勢いとなり明治維新へとつながった。
 
まとめ
国内の生産性の向上に合わせて、金融緩和(改鋳)を行う有能な政治家もいたが、世襲制身分制度のため、失脚と揺り戻しの繰り返しで継続的なインフレができなかった。明治維新で、身分制度が撤廃されたことで、世代交代のたびに経済政策が一進一退する憂いがなくなくなりました。
学校教育では人名やイベントが並べられただけで、前後のイベントをリンクさせることができていませんでしたが、こうやって経済でリンクさせると記憶にも定着しやすいですね。こういう授業をネットで聞ける現代の小中学生がうらやましいです。
総裁選のニュースが飛び交いますが、現代の政治も、政権交代で政策の方針が大きく変わることのないように、与党内も野党も日銀も一枚岩になって、かじ取りをしてほしいですね。